櫻庭 栞の しおりん❜s畑

アナログ昭和女子(栞とく~すけ)が、お届けする『 ちいさな世界 』     あの日の お話&雑記・写真などが、入ったブログです…。

どんぐりの坂道…。


市街地から山へ登る途中のアスファルトの道は
山の中腹にある大きな介護施設の前で
大きくカーブします。

その大きな門の前に、車のタイヤにかれて
つぶれた『どんぐり』たちが、たくさん。
すり鉢で、られたようになっています…。

この施設にやって来る利用者や、ご家族の乗用車に
たくさんひかれたのでしょうね。ペチャンコです…。

池には、はまっていないけれど。どんぐりさん。大変です!

土曜日のそろそろ、お昼をむかえる時刻。
坂道は、今は誰もいなくて、静寂です…。
風も吹いていません…。
…。と。
坂道を、もうすこし登った所で、急に、コンコン…!と、音がして。
2.3回。大きくバウンドして、まるい小さな物が、ひとつ。
坂の上から、コロコロと、ころがって来ます。
『どんぐり』です。

この坂道は、傾斜けいしゃがきついので、タイヤのすべり止めに一部
ギザギザになっています。
どんぐりが、落ちてきた所まで、登って見上げると
コンクリートで、固められた山の崖の上に
『どんぐりの木』が、あるのでしょうね。
見上げていると。母が、
「先に、行くよ。」と、声をかけてきました。

無風状態で『葉っぱ』ひとつ動きませんが
上の方から、カサカサ…。葉ずれの音がして
コンコン…。コーン!と、またひとつ落ちてきました。

それを捕まえようと、坂道を追いかけると、虫食いのどんぐりでした。
残念…。
すると、また。背中の後ろから、コンコンと、音がして
しゃがんでいる私を追い越して、コロコロくだろうとします。
手を伸ばしても届きません。
私は、急いで立ち上がって、坂道をくだりながら
「よっ!」と、足で踏んで、止めました。
コン。コン。コロコロ…。と、またひとつ。

『もう!』鼻息の荒い私…。
誰か、私のこの様子を見ていて、笑っているような…?
そして。コロコロ…。と
『どんぐり』の実は、笑いながら落ちてきているような…。
『もう。誰か、見ているんでしょう。』

そして。どんぐりは、なにか…自然の法則にみちびかれるように
介護施設の門の前で、止まります。
「うーむ。」
私が、そこに立つと。コロコロ。コン!
私の運動靴に『コン…!』と、ぶつかり止まります。
    
    なんだ。最初からここに立っていれば、よかったのです。
    でも。このままでは、また車にひかれてしまいますが、
    仕方がありません。運命かな…?


私は、拾ったきれいな『どんぐり』を、2つ。ポケットに入れました。
…。と。またひとつ。こちらに向かって、コロコロ…。コロコロ…。と。
タイミングが、良すぎます。

「だからー。さっきから。誰かどこかで、見ているんでしょ? 私のこと!…」
と、声を出して、言いたいところですが。
キョロキョロしても、羽虫はむしが、静かにブーンと、飛んでいるだけです。


私も先を急がねば、なりません。
母の後ろ姿が見えなくなって、ひさしいです。
母が、この坂道の上で、待っているはずですから。
私も、早く追いつかないといけません。
母は、お供えの『お花』は、持っていますが
ライターとスポンジは、私が持っています。

樫の木も、どんぐりも。秋の空の一番いい。この日を選んで
コロコロ笑いながら落ちてきているようでした。
よく来てくれたねー。そんな声が、どこからか聞こえてきそうな
静かな…。秋の坂道でした。       end.  
                 
                
                 お読みいただきありがとうございました。
                            file.93.


     p.s.   たくさんの、どんぐり達…。後ろ髪をひかれるようですが
        こればかりは、どうしようもありません。
        2つは、無事救出しましたけれど…。
        とっても静かに…。秋は、進行していきます…。…と。
             誰かが、言っていましたっけ…?