あめ玉とプラッシーの思い出
「栞ちゃーん。アメちゃん…。あげよか?」
「えっ?!」
…。私。たこ焼き。食べに来たんだけど…。
「おばちゃんも、さっきお客さんから、もらってん!
1個づつ食べよ!」
と、いつも行く商店街の『たこ焼き屋』のおばちゃんに
アメちゃんをもらいました。
…小学校3年生の私。
テストでいい点を取ったご褒美に
お金をもらって、よく1人で食べに行きました。
おだし付きの『明石焼き』です。店内で、お皿で食べます。
ソースもかけます! 美味!
私が手を出すと、おばちゃんは『あめ玉』をひとつ。
のせてくれました。
「ありがとう。おばちゃん。」
「うわー。栞ちゃん。小さい可愛らしい手やな~。
おばちゃんの手は、ゴツゴツのガサガサで、恥ずかしいなあ。
いつも、食べに来てくれて。ありがとうな。」
そんな手で、頭をなでてくれた。…そんなイメージがあります…。
私が、少し大きくなって小学校5年生。
同級生と3人。家の前でバトミントンやゴム跳び(1本)を
して遊んでいると
「栞ちゃーん。ちょっと、休憩せえへんか? プラッシーも、あるで~!」
*注)プラッシーとは、オレンジジュースです!
と『向こう三軒両隣り』から、1軒はずれた所にあった米屋さんの
おっちゃんが、私たちを『おいで。おいで…』と、手招きします。
「みんな暑いのに。元気やな! まあ。一服しぃな。」
と、ガラス瓶に入ったプラッシーの栓をあけて
「ここに座って、飲んだらエエで!」
と、大盤振る舞い!
「ありがとー。おじちゃん!」
と、友だちと店の隅に並んで座って、ありがたく頂きました。
後で母に報告して。あらためてお礼を言いに行きました。
そして今年…。10月の初め頃です。
私は、近くに『買い物』に…。
100均で、ガムテープとファイル。パン屋さんに、本屋さん。
最後にスーパーで食料品を買いました…。
と。私は、肩こり症なので、スーパーの入り口近くのベンチに
荷物を『ドン!』と、置き。
2つのマイバッグに、重さが同じになるよう
右へ左へ荷物を入れ替えます。
よし。これでOK!
大きなため息をつき、ベンチに腰を掛け、荷物を抱え、お茶をひと口。
するとベンチの横に座っていた先客の『おばあ様』が
「アメちゃん。食べるー?」と。
ええええっ。出た~! アメちゃん。
わ、わっ。…私にですか?
いいんですか?
私も、どこから見ても。もう『いいおばちゃん』なのに。
そりゃー。おばあ様から見れば、まだまだ『ひよっこ』ですが。
すっごい久々の不意打ちで。
私としては、ずっこけそうになりましたが。
おばあ様の、ありがたいご好意に
「ありがとうございます。後で。いただきますね。」
と、頂きました。
きっと。あーでもない、こーでもない!
と、横でゴソゴソしている私を哀れんで
声を掛けてくれたのでしょう…。ね。
ハハハハハー。
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お読みいただきありがとうございました。
p.s. 家に帰ってビックリ! おばあ様。これって。
アメちゃんではなく。まんまるなラムネちゃん。なんですケド。
まあ。同じようなモノですよね!